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愛しのゴースト
(ピー・マーク/ピー・マーク プラカノーン)
(ピー・マーク...プラカノーン/ピー・マーク...プラカノーン)
< Pee Mak Phra Kanong >


楽しいぞ!!タイ映画史上に残る空前のお化けヒット作品
[製作国] タイ [原題] พี่มาก..พระโขนง
[製作年] 2013年
(3月28日公開)
[日本公開年] 2013年(映画祭)、2014年(一般公開)
[監督] バンチョン・ピサンタナクーン<Banjong Pisanthanakun/บรรจง ปิสัญธนะกูล> [出演者] マーリオー・マオラー<Mario Maurer/มาริโอ้ เมาเร่อ>、ダーウィカー・ホーネー(マイ)<Davika Hoorne(Mai)/ดาวิกา โฮร์เน่(ใหม่)>、ポンサトーン・チョンウィラート<Pongsatorn Jongwilak/พงศธร จงวิลาส>、ナッタポン・チャートポン<Nattapong Chartpong/ณัฏฐพงษ์ ชาติพงศ์>、アッタルット・コンラーシー<อัฒรุต คงราศรี>、カンタパン・プームプーンパチャラスック<Kantapat Permpoonpatcharasuk/กันตพัฒน์ สีดา>、ウィワット・コンラシー<Wiwat Kongrasri/วิวัฒน์ คงราศรี>、Sean Jindachot
[ 参考ページ ]   伝説「メー・ナーク・プラカノーン」
[評価] ★★★★★
Pee mak phrakanong (2013) on IMDb
※日本でDVD(日本語吹き替え、日本語字幕付き)が発売
 ホラー・コメディー。事実だと信じる人も多いと言われる、タイの有名なホラー伝説「メー・ナーク・プラカノーン」の2013年版。マーク(マーリオー・マオラー)は徴兵され、身重の妻ナーク(マイ)を家に残して戦場へと赴く。しかし、マークが戦場にいる間にナークは死んでしまい、マークはそのことを知らない。負傷したマークは、戦友らと共にプラカノーンの自宅へと戻って来る。そこには、夫を愛するあまり、死しても幽霊となって夫を待つ妻と赤ん坊がいた。マークとナークは喜びの再会を果たし、マークは戦友達をしばらくの間離れに泊めることにした。マークらが村へ行くと、どうも知人たちの様子がおかしい。妻のナークが幽霊だというのだ。・・・というストーリー。
 GTH社作品。この題材は、過去に何度も映画化、TVドラマ化、舞台化がされている。タイトルが「メー・ナーク」ではなく「ピー・マーク」になっていることからも想像がつくが、今回の主役はナークではなくマークだ。
 この作品は、ひとことでいうととてもおもしろくて楽しめる作品となっている。最初から最後まで劇場内は笑いっぱなしだ。しかも、その笑いの取り方は、タイ映画お得意の下品なドタバタ・コメディーではない。これなら、タイ以外の国でも受けるに違いない。特に作品の冒頭では、編集の妙で笑わせてくれる。こういう作品は珍しい。もちろん、いい演出があったからこそ編集で笑わすことができたのだが。演出、脚本、撮影、編集がすばらしい。
 そして、出演者も良かった。特に良かったのは、マークの戦友達を演じた助演の四人(ポンサトーン・チョンウィラート、ナッタポン・チャートポン、アッタルット・コンラーシー、カンタパン・プームプーンパチャラスック)。見事に笑いを取っている。
 そして、愛妻家である主演のマークを演じたマーリオー・マオラーが、かわいらしかった。彼、以前に比べて演技がうまくなったと思う。彼は、日本で公開された「ミウの歌(ラブ・オブ・サイアム/サイアム・スクエア/The Love of Siam)」<2007年>で映画デビューを飾っている。日本の映画祭で上映された「ウモーン・パー・ムアン - 羅生門(アウトレイジ/The Outrage)」<2011年>、「ア・クレージー・リトル・シング・コールド・ラブ (ファースト・ラブ/A Crazy Little Thing Called Love/First Love)」<2010年>や日本のAV女優・西野翔も出演した「チャンダラー(Jan Dara)」シリーズ<2012~13年>などに出演している。タイを代表する人気男優で、周辺のアジア各国でも人気がある。
 ナーク役の女優マイは、「ファザーランド(Fatherland)」<2012年>に次いで映画は二本目の出演。TV出演は2010年からある。TVドラマ「ガオ・カーム・テープ(เงากามเทพ)」では主題歌も歌っている。今作公開年には21歳になる若手だ。ちょっと難しい役だったと思うが、怖さの中にかわいらしさを交え無難にこなしていた。
 冒頭の戦闘シーンはかなり迫力があった。だが、主人公たちが体に弾丸を受けているのに、(コメディー・シーンではないにもかかわらず)劇場内では笑いが湧き上がるという珍しい現象が起こった。それだけ、冒頭から観客を笑わせていたということなのだが。観客が笑いたくなる気持ちは分かる。残念だったのは、有名なマナオのシーン。あまりにもあっさりと流してしまっている。これだけすごい作品なのだから、何か工夫して見せてくれればより盛り上がったと思うのだが。
 作品は、正統派「メー・ナーク・プラカノーン」とはちょっと違った結末を迎える。こういう終わり方をする「メー・ナーク・プラカノーン」は初めて観た。また、本編終了後のエンド・ロール中に後日談が展開するのだが、これがまた傑作だった。
 この作品の中には、どうしても外国語に訳すことができないことばや習慣、言い伝え、歴史を知らない外国人には笑えない部分もあるが、それでも十分に楽しむことができる内容となっている。とにかく、楽しい作品に仕上がっている。
 挿入歌「ヤーク・ユット・ウェラー(อยากหยุดเวลา)」がとてもいい。この曲はオリジナルではなく、元歌は1991年のサランヤー・ソンサルームサワット(Saranya Songsermsawad/ศรัณย่า ส่งเสริมสวัสดิ์)のものだとのこと。
 第23回スパンナホン賞では、なんと13部門(作品、監督、主演女優、助演男優、脚本、編集、撮影、美術、衣装デザイン、メーキャップ、特殊効果、音楽、録音)で15ものノミネートがされた。大量受賞も予想されたが、結果は美術賞たった一つのみであった。特に助演男優賞は、ナッタポン・チャートポン、ポンサトーン・チョンウィラート、アッタルット・コンラーシーのマークの戦友役を演じた三人がノミネートされた。この内のだれかで決まりだろうと思われたが、「タン・ウォン ~願掛けのダンス~(Tang Wong)」のナッタシット・ゴートマナットワニットにさらわれてしまった。同じ作品に三人いたので、票が割れた可能性もある。
 年齢制限は「15歳超視聴可」。興行収入はタイ映画史上最高を記録し、US$18,161,322というとてつもない数字を打ち出した。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、8.98点(満点は10点。投票数131。2013年4月現在)と高得点であった。
 バンチョン・ピサンタナクーン監督は、日本でも公開された「心霊写真(Shutter)」<2004年>、日本の映画祭で上映された「アンニョン! 君の名は(Hello Stranger)」<2010年>や「フォウビア 2(Phobia 2)」<2009年>の中の「In The End」、「フォウビア(Phobia)」<2008年>の中の「The Middle Man」、「アローン(Alone)」<2007年>などを手がけているホラー系の映像に力のある人だ。

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【 愛しのゴースト 】
DVD (日本版)
【 Pee Mak Phra Kanong 】
DVD (香港版/英語字幕付き)
【 Pee Mak Phra Kanong 】
DVD (タイ版/Box Set)
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【 Pee Mak Phra Kanong 】
DVD (タイ版)
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【作品情報もろもろ】
[『アナと雪の女王』を押さえ、タイで歴代興行収入No.1のメガヒットを記録!]
 日本では、「『アナ雪』を押さえ、タイで歴代興行収入No.1のメガヒットを記録!」というコピーが踊っています。興行収入は、「愛しのゴースト」がUS$18,161,322で「アナと雪の女王」がUS$1,432,086でした。「愛しのゴースト」は、実に「アナ雪」の10倍以上の数字です。
 ですが、タイでは、「アナ雪」はヒットはしたものの大ヒットはしなかったのです。理由は分かりません。「アナ雪」の興行収入は、2013年にタイで公開された作品の中で第32位なのです。ちなみに、第1位は「愛しのゴースト」ですが、以下「アイアンマン 3」(US$8,866,802)、「ワイルド・スピード EURO MISSION」(US$7,039,653)、「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」(US$4,552,606)、「G.I.ジョー バック2リベンジ」(US$3,912,147)でした。
[マークの戦友たち]
 この四人組ものすごくおもしろかったです。、この四人組なくして、この作品の大ヒットはあり得ませんでした。マークの戦友達を演じた四人組(ポンサトーン・チョンウィラート、ナッタポン・チャートポン、アッタルット・コンラーシー、カンタパン・プームプーンパチャラスックオー)は、この作品の出演がきっかけで大人気となりました。作品公開後、コマーシャルなどに引っ張りだこです。
 この中で、ポンサトーン・チョンウィラートこそ主演ではないもののそこそこ出演作がありました。しかし、他の三人は無名ではありませんが、代表作といえるような作品はありませんでした。
[定説「メー・ナーク」との違い]
 伝説「メー・ナーク・プラカノーン」の正統派ストーリーとの大きな違いは、二つあります。一つ目は、正統派ストーリーには四人の戦友たちは出てきません。二つ目は、話の結末が違っています。ある意味、正統派のものとは正反対の結末になっています。
[邦題「愛しのゴースト」]
 邦題を付けるのが難しいことは分かります。内容的なことだけでなく、営業的なことも考えなければなりませんからね。ですが、この「愛しのゴースト」という邦題を聞いた時、あまりにも無難なものになったなという気がしました。仕方ないことかもしれません。日本人には、「メー・ナーク・プラカノーン」という伝説はほとんど知られていませんからね。
 本当は、「メー・ナーク」ではなく「ピー・マーク」としたところに本作のメッセージが込められていると思うのですが。「愛しのゴースト」だったら、「アジアフォーカス 福岡国際映画祭 2013」で使用する予定だった「死者の村からこんにちは」の方がかわいらしくてよかった気がします。

【観る前に知っておくとより楽しめる豆知識】
[Siam]
 英語字幕に「Siam」という名詞が出てくる。マークの「Siamでなく、ナークを想って戦っていた」というようなセリフがある。この「Siam」とは「サイアム」ではなく「サヤーム」と発音し、「シャム国」つまり現在の「タイ国」を意味している。
[バーン・ラチャンの戦い]
 これは、タイ版「アラモ砦の戦い」のこと(なに、アラモ砦を知らない?そういう方は自分で調べてください)。アユタヤー時代の1765年、現在のシンブリー県バーンラチャン郡で王都アユタヤーへと進軍するビルマ帝国(現ミャンマー)の進路に立ちふさがった村があった。8回目の攻撃で"全滅"してしまうが、約5カ月間もの時を稼いだ。タイ人なら誰もが知っている愛国の有志達の話だ。(※日本語字幕には「バーンラチャンの戦い」は出てきません)
[タイ語で「チョウ(蝶)」は「ピー・スア」]
 マークが戦友たちとジェスチャー・ゲームを始めるシーンがあるのだが、そこで「チョウ(蝶)」という題目が出る。タイ語でチョウのことを「ピー・スア(ผีเสื้อ)」という。「ピー」は「お化け(霊)」、「スア」は「服(上着)」という意味なのだ。そう、「お化け」とは「ナーク」のこと。そのために・・・。(※日本語字幕には「蝶」という言葉は出てきません)
[タイ式お化けを見る方法]
 タイの言い伝えで、自分の股の間からのぞくとお化けがそこにいれば見ることができると言われている。

【日本語字幕版】
[字幕]
 日本劇場公開版の日本語字幕担当は、高杉美和さんです。コメディー作品の字幕付けというのは非常に難しいのですが、とても簡潔で短く読みやすかったです。
[バーンラチャンの戦い]
 オリジナル版のセリフでは「バーンラチャン」となっている部分が、「スリー・ハンドレッド」(「300」<2007年/アメリカ映画>)に置き換えられていました。どちらの作品も、最後は全滅してしまいますからね。
[ジェスチャー・ゲーム]
 ジェスチャー・ゲームで「蝶」を当てるシーンがあります。このシーンは結構傑作で、とても笑えます。ここで、英語版同様「蝶」を「死のシャツ(Dead-Shirt)」としているのですが、これはどうしてなのでしょう?「Dead-Shirt」って、「死のシャツ」以外に何か意味があるのでしょうか?タイ語通りに「蝶」と訳しても、日本人には理解できませんが。
[隠語]
 戦友たちの会話の中で、マークの家の中の説明をするシーンがあります。その中で、「モー(หม้อ)」という言葉が登場してきます。これは、通常「鍋」を指すのですが、隠語で「女性器」のことも同様に言います。会話では「鍋」というつもりで使っているのですが、それを聞いた仲間が「(ナークの)女性器」だと思ってしまうというシーンでした。日本語版では素直にそのまま訳してありましたが、これは意訳のしようがありませんね。コメディー作品は、このように外国語に置き換えられないセリフが多々あるので大変です。
[ナーク]
 作中の会話の中で、「ナーク(นาก)」を「【動物】(イタチ)」と訳されていました。動物のナークを霊のナークと取り違えるシーンです。「ナーク」とは「イタチ」の意味もあるのですねと思って調べたら、「イタチ」ではなく「カワウソ」のようです。

➡【タイ映画界「2013年夏の陣」を振り返る-GTH対M39、「愛しのゴースト」対「サンセット・アット・チャオプラヤー」】

ポスター

スチール < (C) Gmm Tai Hub Co.,ltd. >


予告編



Trailer(International)



Trailer



MV 「ヤーク・ユット・ウェラー(อยากหยุดเวลา)」 (cover version)
※タイトルの意味は「時を止めたい」です。



MV 「ขอมือเธอหน่อย(cover version)」



「พี่มาก..พระโขนง มะนาวลูกนั้น 」



「あなたは知っていますか?(พี่มาก..พระโขนง คุณรู้หรือไม่)」



「プラカノーンの人々を知っている(พี่มาก..พระโขนง รู้​จัก​ชาวพระโขนง)」



「プラカノーンのヘア・スタイル(แฟชั่นผมทุ่งพระโขนง)」



「タイのお化け伝説(ตำนานผีไทย)」



【 タイ映画 & ミュージック DVD, CD販売サイト 】
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